ファスティングについて入門編として基礎の基礎を解説した記事があるのでその後にこちらを読んでくださいね。
こちらでは、ファスティングの基礎として必要な体のしくみについてカンタンに解説します。
目次
ファスティングで覚えておくべき体の3つの機能
私達の体は、食べたもので出来ています。口から取り入れる食べ物は、消化・代謝・排泄の過程を経て私たちの体の一部となり、最終的には外に出て行きます。
- 食事をしてそれらを消化する
- 栄養素を吸収して代謝する
- それによって産生された体内の老廃物と食べ物のカス(残渣物)を排泄する
これらの行為を毎日繰り返して日々を過ごしていますが、この3つのサイクルが1つでも狂えば、不調となります。
3つのサイクルはいずれも大切なものですが、特に注目したいのは”排泄”です。これはファスティングにも関わる大切な部分です。
排泄
排泄しないと病気になる
人間の体からもゴミが出るから私たちは、日々の暮らしの中で様々なゴミを出していますよね。ゴミを適切に分別し処理を行うことによって、私たちは快適な暮らしを送ることができています。
私たちの体はどうでしょうか。食べ物を摂取すれば消化されます。消化されるとき、または吸収されたものが体の中で利用されるとき、人間の体からも必ずゴミである”老廃物”が作り出されます。
例えば、たんぱく質はアミノ酸に分解されるときに有毒なアンモニアを発生させます。これは肝臓で無害な尿素に変えられますが、必ず尿中に排泄されなければなりません。
腸内に残った食べ物のカスは、体外に排泄されないと腸内で腐敗、発酵します。腐ったものが腸の中にあれば、腸内の環境が悪化し、大腸がんなどを引き起こしやすくなったり、あらゆる不調の原因になります。
現代人は排泄を意識すべき
現代人が食べるものは、ほとんどが加工された食品です。収穫された生のままの食品ではなく、調理の手が加わっていたり、保存や販促のために添加物などの処理されているものがほとんどですね。
実はこうした加熱処理、加工処理された食品は、消化に多大な時間とエネルギーを消耗します。私たちの体の生理機能や構造は、こうした食品を処理することを前提としていないからです。
こうした”加工された食品”は消化や吸収を完全に行うことが難しく、体内にたくさんの残留物を生み出します。こうしたものが順調に排泄されればよいのですが、排泄される量よりも生み出される残留物のほうが多ければ、当然それは体の中に蓄積されていくことになります。
人体にとって有害な物質(ダイオキシンなど)は脂肪に溶けやすいという性質を持っていて、有害物質は脂肪に溶け込んだ形で体内に蓄積されてしまいます。さらに厄介なことに、脂肪に一度蓄積された有害物質は、体外に排出することがとても困難なのです。
特別何もやらないでいれば、排出されることはほぼありません。
蓄積されたものは、当然体には悪いものなので、いかに意識的に排泄力を高めるかが重要なのです。
消化
甘くみてはいけない消化
消化器官は疲れている食べたもので体が作られるので、食事はとても大事なのですが、ただ口に入れただけでは何の意味もありません。吸収されるための消化という段階がとても重要になるのです。
ファスティングの目的の1つにも、消化器官などの内臓器官を休ませることで回復を図るということがあります。
私たちは、毎日必ず食べます。ということは、体に必ず消化させているということです。
それが当たり前だろと思うかもしれませんが、実は消化器官はとても疲れています。食物だけでも消化するのにエネルギーをたくさん必要とするのに、先ほども言った”加工された食品”が、ますます消化にエネルギーを消耗させているため、疲弊してしまっているのです。
食後に眠くなるワケ
消化にエネルギーが必要とされるのがよくわかるのが、食後の眠気。
食事の後は、急な眠気を感じる人が多くいます。食べ物が胃に入ると、血液は消化作業のため胃をはじめとする消化器官に集中します。その結果、脳の血流が減り、眠くなるのです。
一般的な食事をしている人は、消化にフルマラソンをするために必要なカロリーに相当するエネルギーを消費していると言われています。これほどのエネルギーが必要となると、眠くなるのもうなづけます。
体は消化を優先させる
消化にこれほどのエネルギーを使うのは、”消化させないといけない”からで、脳への血液まで胃に集中させるほどなんです。それは、こんな理由から。
体内温度は約36℃〜37.5℃前後。その体内に食べ物を長時間放置しておくことは、高温多湿な室内に食べ物を放置しておくことと同じ状況です。
そうすると食べ物は時間が経過するにつれて痛み、腐敗していきます。消化に時間がかかると、体内ではこれと同じ事が起こっていることになります。
消化しきれない食べ物が体内に長時間存在すると、やがて発酵・腐敗が始まります。一度発酵・腐敗した食べ物は、体は栄養素として利用することができず、体にとって有害な物になります。
そんな危険な状態にはしたくないので、私たちの体は食べ物が入ってくると他の活動を差し置いてでも消化作業を始めます。少しでも早く栄養素が利用できる状態のまま、胃から腸へ送り出そうとするのです。
消化にエネルギーが割かれることの弊害
体は、消化すれば吸収しないといけません。それ以外にも代謝、排泄という仕事もあります。
それにも関わらず消化で莫大なエネルギーが消費されてしまうと、その他のことに利用できるエネルギーが不足してしまいます。
これらを解決するためには、消化に負担をかけない事が最も根本的な解決法となります。
胃腸に負担をかけないものを、負担をかけないように食べる、ということを普段から心がけましょう。
消化に負担がかからない食事をすることで、食後眠くなることはなくなるので、実は、食事内容と食事の仕方でその問題は解決するのです。
ちなみに、ファスティング中は、うとうととした眠気を感じることがなくなったという声をよく聞きます。
代謝
代謝されて初めて体となる
消化に良いものを食べ、しっかり吸収させてようやく体に役立つものとなり、必要ないものは排泄される。この一連の流れが代謝です。
代謝の中でも、生命活動を維持するために生体で自動的に(生理的に)行われている活動における必要最低限のエネルギーは基礎代謝と呼ばれます。
心臓を動かす、呼吸をする、体温を維持するなどの行為を常に行っていいますよね。そういう活動に使われるエネルギーです。
簡単な言い方をすると、何もせず1日ぼーっと過ごすだけでも消費するエネルギーですね。代謝が安定した一般成人で、1日に女性で約1,200、男性で約1,500キロカロリー(kcal)とされていて、最低でも生きるだけでこれだけのエネルギーが必要ですよということです。
その上で食べて消化活動に大きなエネルギーを消費しているので、代謝にエネルギーはたくさん必要です。
無駄にエネルギーを使ってしまっては、代謝や排泄など食べたものを有効に使い、体を正常に活動させるようにできないので、賢いエネルギーの使い方を考えないといけません。
それは、消化にたくさんのエネルギーを費やさないということです。日々、少食を心がけ、定期的にファスティングをすることで、代謝や排泄にエネルギーが回りやすくなります。
時間でみるエネルギーを最大限に生かす方法
体の機能、消化・代謝・排泄は、1日を通して活発になる時間が決まっています。図にするとこんな感じ。
朝目覚める前から排泄・デトックスの時間となり、トイレでの排泄だけでなく細胞レベルでも不要物のデトックスを行います。
日中活動している時は食事をし、その栄養素を体に利用できるよう消化活動を行います。
そして、夜睡眠前〜眠っている時には消化された栄養素の吸収が行われます。この3つのサイクルが日々バランスよく動いていくことがとても重要です。
夜遅くに食べてはいけないとよく言いますが、この体のリズムが崩れるからです。遅くに食べると、翌朝、気分がよくないことってありませんか?疲れが溜まっている感じとか、胃がもたれているような感じとか。
摂取された食事がある程度消化されて胃から出て行くためには、通常の加熱食の場合約3〜8時間必要です。夜は代謝の時間であるにも関わらず、夜遅い食事により、代謝の時間に消化にエネルギーが使用されます。
寝るまでに消化作業を終えられない場合、睡眠中ずっと体は消化のためにエネルギーを使い続けないといけません。
これではせっかく睡眠を取っていても、質の良い睡眠とはいえず、体は疲れも取れなければ、栄養素の利用や細胞の再生、記憶の整理など重要なことにエネルギーを使えなくなり、良いコンディションを保てなくなるので、不調になりやすくなるのです。
朝になると、代謝によって生まれた老廃物を排泄するために体のリズムが切り替わります。体にとって不要かつ有害ともなる老廃物を外に出さなくてはいけません。
朝にすべきなのは、エネルギーを”補給”することではなく、不要物を”排泄”すること。
朝食を満腹になるまでしっかり食べるということは、このエネルギーを消化に使用するということに他なりません。
本来、この時間で行うための「排泄」にエネルギーを使うことができなくなります。
老廃物の排泄ができずに体に蓄積されたまま、電車では眠気やだるさに襲われ、会社についても頭や体がすっきりしないままやる気も起こらず、強いカフェインやエナジードリンクで頑張っている…、という無意識な習慣を行っている人が本当に多いです。
そんなことしなくても、朝食を食べないだけで眠気やだるさはなくなるんですけどね。(ファスティングに慣れるまでは逆にしんどくなる場合がある)
というわけで、まとめると、3つの機能(消化、代謝、排泄)を効率よくさせるためには、消化にエネルギーを使いすぎないこと、消化の時間以外は消化をさせないということですね。
で、何をすればいいかというと、食べない=ファスティングということになるのです。