心理学に興味のある人ならば、「マインドフルネス」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。多くの心理学の本で、この「マインドフルネス」という単語が取り上げられています。
ここではこの「マインドフルネス」についてできるだけわかりやすく解説していきます。
マインドフルネスとは、「この瞬間」に目を向ける生き方を言う
マインドフルネスとは、「今、ここ」「この瞬間」に目を向ける生き方や考え方を指します。
私たちは、意外なほどに「自分がしていること」に無頓着です。たとえば、「なんかぼーっとしていた」「時間になったから仕事をし始めたけれど、今日の仕事の内容をよく思い出せない」「機械的に手を動かしていただけ」「別に楽しいわけでもなのに、漫然とネットサーフィンをしていて休日が終わってしまった」などのようになった経験は、だれもが味わったことがあるのではないでしょうか。
このような状況は、「今、ここ」「この瞬間」に目を向けられているとは言い難い状況です。
このような状況に対して、「今、ここ」「この瞬間」に目を向けて、自分自身が「今」していることに注目をすることが出来ている状態を、「マインドフルネス」といいます。
マインドフルネスの状態になると、外部からの影響を受けにくくなります。そのためストレスが溜まりにくくなり、集中力も増します。何かトラブルがあっても冷静に対応できるようになり、トラブルの解決能力も上がっていくと考えられています。
マインドフルネスの考え方の歴史について
マインドフルネスの考え方の起源は、遥か昔に興った仏教によるとされています。
仏教の経典のなかには、すでに「サティ」というかたちでマインドフルネスに近しい考え方があったことが示されていますし、ゴーダマ・シッダールタ(お釈迦さま)もまた弟子をこの考えによって説いたとされています。
ゴーダマ・シッダールタは、心を「しつけられていない野生に生きる象」に例えたとされています。放っておけば野生の心の赴くままに人を跳ね飛ばし、人を傷つけ、暴れまわるこのやっかいな動物を制御し、つなぎとめるための杭として「マインドフルネス」の考え方があるとしていました。
もっとも、現在の「マインドフルネス」の考え方は、ここから宗教的な概念を抜いたものだとされています。
そしてこれを広めるきっかけとなったのが、マサチューセッツ大学医学校の名誉教諭のジョン・カバットジン先生でした。彼は、マインドフルネスを「マインドフルネス瞑想」として医療分野に導入し、「痛みの軽減にマインドフルネスの考え方が有用ではないか」としました。
このようにして昔から多くの人に研究されてきた「マインドフルネス」という考え方は、現在では世界中で広く受け入れられるようになってきました。
出典;マンガで分かる心療内科18巻|ゆうきゆう・ソウ