人の心を豊かにし、落ち着かせ、社会性をも高めてくれるといわれている「マインドフルネス」は、しばしば「瞑想」とも関連付けて語られます。
しかしこの「瞑想」には、実はデメリットもあるのです。
今回はあまり知られることのない、瞑想のデメリットについて解説していきます。
ニューヨーク州立大学での興味深い研究について
瞑想のデメリットを知るためには、ニューヨ-ク州立大学バッファロー校での研究をピックアップするのがよいでしょう。
この研究では、2つの実験を行いました。
【実験1】
実験1の手順は、以下の通りです。
1.被験者を事前に、「自立的な精神性を持っているか、それとも相互依存的な感覚を持っているか」によって分ける
2.さらにその被験者を、瞑想する人間とマインド・ワンダリング(心がさまよっている状態。瞑想とは逆の精神状態)にある人間に分ける。この時点で、被験者は
①自立的な精神性を持っていて、かつ瞑想をした人間
②自立的な精神性を持っていて、マインド・ワンダリングの状態にある人間
③相互依存的な精神性を持っていて、かつ瞑想をした人間
④相互依存的な精神性を持っていて、マインド・ワンダリングの状態にある人間
の4パターンのいずれかに分類される
3.そののち、ボランティアに参加するかどうかを聞く
【実験2】
1.被験者に軽い運動をさせたのち、「自分は、自立精神が旺盛か、それとも相互に頼って生きていく精神性を持っているか」を聞く
2.その傾向の通り分けて、瞑想を行う層とマインド・ワンダリングを行う層に分ける。この段階でこの実験の被験者も、
①自立的な精神性を持っていて、かつ瞑想をした人間
②自立的な精神性を持っていて、マインド・ワンダリングの状態にある人間
③相互依存的な精神性を持っていて、かつ瞑想をした人間
④相互依存的な精神性を持っていて、マインド・ワンダリングの状態にある人間
の4パターンのいずれかに分類される
3.そののち、ボランティアに参加するかどうかを聞く
結果的に、実験1の場合は「①にあてはまる被験者は、ボランティア活動に参加する割合が減少した」とわかりました。
実験2ではさらに興味深い結果が得られました。
この場合、自立的な精神を持っている人のボランティア意欲は低下して、相互依存的な精神を持っている人はボランティア意欲が高まったとされているのです。
このことから、「もともと自立精神が高い人の場合は、瞑想を行うことで社会性が低下する」とわかりました。反対にもともとほかの人との関わりを吉とする人の場合は社会性が強化されました。
「瞑想によって社会性が高まる」とされているのは、あくまでもともと社会に対して興味を持っている人に限った話である可能性が存在します。
また瞑想を行うことで自分と向き合うことができるようになりますが、その結果として、自立精神が旺盛な人は「自分」を中心に考える土壌が形成されやすいのかもしれません。
出典:GetNaviWeb「瞑想すると利己的になる!「マインドフルネス」の意外な落とし穴」