今や世界中で取り入れられるようになった「グルテンフリー」の考え方ですが、この歴史はどこから始まるのでしょうか。
それについてみていきましょう。
「セリアック病」、その歴史は1888年から始まった
グルテンフリーの考え方は、セリアック病に端を発しています。グルテンによって小腸粘膜がダメージを受けてしまう病気であるセリアック病は、遥か昔から人類の側にあったと考えられています。
ただ、「セリアック病」という名称がつけられたのは、1888年のことでした。
ただその頃は、「セリアック病の原因は食事にあるが、どのような食事が原因かはわからない」という状況でした。
1900年代に入ってようやく「炭水化物が原因なのではないか」と言われ始めるようになりました。そして、オランダの小児科医師によって、「小麦などを食事から外せば、症状が劇的によくなる」と発表されたのです。
さらに研究が進み、「でんぷん自体は問題がなく、問題となるのはグルテンである」と分かったのです。
セリアック病の解決策としての「グルテンフリー」の考え方が生まれた
このような経緯を経て、「グルテンフリー」の考え方が生まれました。「グルテンを摂取しない生活を行うことで、セリアック病の症状は改善できる」とされたのです。
このような考え方が確立したのは、第二次世界大戦中のことです。つまり、セリアック病の解決とグルテンフリーの考え方は、確立してからわずか70年程度しか経っていないということです。
グルテンフリーの考え方ができてから、セリアック病の症状に苦しむ人の多くが救われました。そしてこのようにして生まれたグルテンフリーの考え方は、徐々に病気ではない人にも受け入れられていきます。
2010年から徐々に著名人やスポーツ選手に浸透していき、「健康的な食生活のうちのひとつ」としてみられるようになっていったのです。
グルテンフリーの食事のニーズが高まっていくうちに、レストランやスーパーでもこれを打ち出した商品が取り扱われるようになってきました。
現在はさらに研究が進み、「グルテンフリーでもおいしいパンを」「グルテンフリーでもおいしいパスタを」として技術が進化していっています。
10年後20年後には、さらにおいしいグルテンフリー食品が出来ていることでしょう。
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出典;瀬戸女子大学名誉教授瀬口正晴「パンを研究する中で」内「複雑な病気セリアック病1」
https://www.mealtime.jp/shokublog/mseguchi/2021/07/1-3.html