「無農薬栽培」という言葉がまだ市場で使われていたころ、同じように「減農薬栽培」という言葉が使われていました。
今回はこの「減農薬栽培」を取り上げ、「オーガニック」との違いについて解説していきます。
減農薬栽培とは、農薬の使用量を減らして行う栽培のこと
「減農薬栽培」とは、「農薬の使用量を減らして行う栽培」を指す言葉です。
一般的な農作物の半分程度の農薬しか使用せず作られるのが基本で、農薬を嫌う人に広く愛されていました。

ただし、現在はこの「減農薬栽培」の表記は法律によって使用を禁じられています。
「減農薬栽培」と言っていても、実際には「減農薬」でない場合もあったからです。明確な基準や定義がないうえに罰則もなく、業者側が好き勝手にこの呼称を利用しているありさまでした。
消費者は、「減農薬栽培」と書かれていれば「農薬をあまり使っていないんだな」「体に良さそうだな」と考えて、手に取ってしまいがちです。このような状況を防ぐために、平成16年に国から出された「特別栽培農作物に係る表示ガイドライン」で、「減農薬栽培」の表記が禁止されました。
令和4年の現在であってもこの表記を使っているところもありますが、これは法令違反です。
減農薬栽培とオーガニックの違い
ここまで「減農薬栽培」についてみてきました。それでは、「オーガニック」はどうなのでしょうか。
「オーガニック」は、「有機(栽培)」と同じ意味を持つ言葉です。これは、使用する農薬などを制限して作られた作物を指します。一定の条件をクリアしなければ、「オーガニック」を名乗ることはできません。
減農薬栽培とオーガニックのもっとも大きな違いは、「国による基準が設けられているかどうか」です。
上でも軽く触れましたが「オーガニック」の名称は、国が定めた条件をクリアしなければ名乗ることのできないものです。この「条件」はいくつかありますが、たとえば、「3年以上の期間に渡り、種まき~植え付けの前に農薬を使っていないこと」などが挙げられます。
つまり、「減農薬栽培」という表記がなされている作物は信用しにくいものですが、「オーガニック」と名乗っている作物に関しては信用しやすいということです。
もちろん、「農薬を使って作られる作物は、すべて体に害となる」とは言い切れません。しかし、「できるだけ農薬の使用量が少ないものを選びたい」ということであれば、「減農薬栽培」ではなく、「オーガニック」の表記がされたものを選ぶとよいでしょう。