ビーガンとは、「肉や魚、卵や乳製品を一切取らない完全菜食主義あるいはそのような生活を送る人」を指す言葉です。
宗教的な観点からこのような生活を送る人も多いこと、また現在は肉や魚をとらなくても食材を選べば栄養を摂取できることから、ビーガンとして生活していても大きな問題が起こる可能性は極めて低いといえます。
ただそれでも、「ビーガンという生活を送る前に、一歩立ち止まって考えるべき人」がいることは確かです。
今回はそれについて解説していきます。
妊娠中の女性が肉を摂取しなかった場合、子どもに影響があるという研究がある
2017年の10月に出された研究のなかで、「妊娠中の女性の肉の摂取量が少なかった場合、生まれた子どもがアルコールや大麻、煙草を摂取するリスクが高かった」という結果が出ています。
肉の摂取量が少なかった人とそうではない人を比べた場合、アルコールに関しては1.75倍、煙草に関しては1.85倍、大麻に関しては2.7倍も摂取率が高くなる傾向にあるとされたのです。
ちなみにこの原因としては、「ビタミンB12などの栄養素の不足によるものではないか」とみられています。
この研究に関しては、「成長過程の最中で子どもがビタミンB12をとらなかったのが原因ではないか」「それでは、ビタミンB12をほかの食材からとっていたならばどうなのか」などの反論もあります。また、実際にビーガン生活を送っている人のなかでも、健康なお子さんを生み育てている人の方が圧倒的に多いといえます。
ただ、妊娠中はつわりのせいで「今まで好きだった野菜や果物が一切受け付けなくなった。それなのに、ハンバーグや焼肉なら食べられる」などのようになるケースもよく見られます。このような場合は、「食べられるもの」を優先して食べていくことが推奨されます。
すでに食事指導が入っている場合は、医師の指導に従おう
また、「糖尿病を患っていて、すでに医師に食事指導を受けている」「セリアック病の疑いがあり、グルテンフリーの生活を送るように医師から指導されている」などのように、すでに医師から食事指導を受けている場合は、ビーガン生活を送る前に立ち止まる必要があるでしょう。
生活習慣病においては一般的にビーガンの生活は推奨される傾向にあります。しかしそれでも、自己判断で徹底したビーガンライフを選んでしまうと、新たな健康トラブルが起こる可能性もゼロではありません。
そのため、担当医に「今度からビーガンの生活に切り替えようと思うが大丈夫か」「どんなリスクが考えられるか」を一度聞いておくとよいでしょう。
「ビーガンという生き方」を選ぶ理由は、人によってさまざまです。上でも述べたように、宗教的な観点から取り組む人もいることでしょう。ただ「健康のためにビーガンライフに切り替える」という人で、かつ妊娠中や食事療法中の人の場合は、一度医師に確認してみた方が無難です。
出典:
Wiley Online Library”Meat Consumption During Pregnancy and Substance Misuse Among Adolescent Offspring: Stratification of TCN2 Genetic Variants”