以前の記事では、「ビーガンは、ビーガンではない人に比べてがんになりにくい」などの統計を紹介しました。
ただ、メリットだけをお話していては不公平というものです。
私たちはビーガンについての正しい知識を広めるために、あえてビーガンのデメリットについて解説していきます。
ビーガンの人はそうではない人に比べて脳卒中になる可能性が高い
以前の記事では、「菜食主義者は、そうではない人に比べると心臓の血管障害を患いにくい」として、菜食主義者のメリットを取り上げました。
しかし、オックスフォード大学の学者であるタミートン氏は、18年間にわたる追跡調査の結果、「菜食主義者は、そうではない人に比べて脳卒中を患う可能性が1.2倍であった」としています。
なおこのデータでは、同様に、「魚や野菜を食べる人は、肉を食べる人よりも虚血性心疾患を患う可能性は低かった」とされています。
そのため、この2つを合わせれば、「菜食主義者はそうではない人に比べて心疾患は患いにくいが、脳卒中などの脳の疾患は患いやすい傾向にある」といえるでしょう。
出典:tuebmj”Risks of ischaemic heart disease and stroke in meat eaters, fish eaters, and vegetarians over 18 years of follow-up: results from the prospective EPIC-Oxford study”
うつ病を患いやすくなるという論文もある
また、ドイツの大学が行った研究では、約50000人を対象として、「食事とうつ病の関係」を調査していきました。
その結果、菜食主義者の人はそうではない人に比べて、うつ病を患いやすいという結果が出ました。
同研究では「まだ最終的な結論を出す段階には到っていない、これから先より多くの研究が必要」と結論付けてはいますが、このような結果が出たことは気に留めておかなければならないでしょう。
なおこの理由として、「人間が物事に集中するために必要な栄養素としてビタミンB1が挙げられるが、これを多く含んでいる赤身肉を摂取していないからではないか」などの考察がなされています。
出典:
ScienceDirect”Vegetarian diet and depression scores: A meta-analysis”
食事の選択肢が狭くなる
ビーガンのデメリットとして「健康上の話」を挙げてきましたが、最後に、もっとも身近なデメリットを挙げましょう。
それが、「食事の選択肢が狭くなる」ということです。
ビーガンの生活は、当然のことながらそうではない人に比べて選択肢が狭くなります。
肉や魚を選択肢から省かなければなりませんし、厳密に行うのであれば卵も外さなければなりません。乳製品の使用も制限するとなると、「外食に行っても何も食べるものがない」という状況に陥ることもあるでしょう。
特に人と一緒の食事の場合は、このデメリットが重くのしかかってくるものと思います。
ビーガンの生活には、メリットもあればデメリットもあります。
ただ、「完全な菜食主義生活を送る」と決めるのではなく、「ゆるやかに取り組む」という気持ちでいられば、このようなデメリットもある程度は解消できることでしょう。