現在では、「ベジタリアン(ビーガン)」という言葉は日本にも広く浸透したものとなっています。
少なくない数の人が、菜食主義であるベジタリアンという生き方を選び、そしてそのなかの何割かが完全菜食主義であるビーガンという生き方を選んでいます。
では、このような考え方・生き方・言葉はいつくらいから出始めたのでしょうか?
ここでは、「ベジタリアン(ビーガン)の歴史」として、その成り立ちを追っていきます。
「ベジタリアン」の言葉は19世紀にはすでに誕生している!
「ベジタリアン」という言葉・概念の歴史は非常に古く、なんと19世紀には誕生しています。おそらく1840年~1847年ごろにできた言葉ではないかと考えられています。
1840年は、日本ではまだ江戸時代にあたるころです。教科書で一度は見た老中・水野忠邦の改革が1841年に行われていますから、私たちにとってはもはや「歴史上の出来事」「教科書で学ぶほど昔のこと」だといえるでしょう。その時代から、すでにベジタリアンという言葉があったわけです。
そして1847年には、「英国ベジタリアン協会」が発足します。このときに、「ベジタリアン」という言葉が正式に採用されています。
ちなみに、この「ベジタリアン」という言葉は、ラテン語からきているとされています。「神様の言葉」「知識階級の言葉」ともいわれていたラテン語の”vegetus”が、ベジタリアンの語源だと考えられているのです。ちなみに、vegetusは「活力がある」「新鮮で健全な」などの意味がある言葉です。
このようにしてできたベジタリアンという言葉は、産業革命の時代に突入したイギリスで広く広まっていきます。そしてこの概念はやがて世界中に広がっていくことになりました。
「ビーガン」の誕生は少し遅い
「ビーガン」は、「ベジタリアン」のなかの一種です。ベジタリアンは単純に「菜食主義」とされますが、ビーガンの場合は肉や魚はもちろん、卵も乳製品も摂取しません。
この「ビーガン」という言葉ができたのは、「ベジタリアン」という考えが根付いた後のことです。
1944年に、イギリスで”The Vegan Society”、「ビーガン協会」ができたときに、この名称が使われることになったとされています。つまり、「ベジタリアン」という言葉には180年近い歴史があるのに対して、「ビーガン」には80年程度の歴史しかないということです。
しかしそれでも、情報伝達の技術が進歩したこともあり、このビーガンという生き方も広く知れ渡っていきました。
ベジタリアン(ビーガン)発祥の土地であるイギリスでは、このような生き方を積極的に選ぶ人も非常に多いといえます。これからもベジタリアン(ビーガン)の歴史はとだえることなく脈々と受け継がれていくでしょうし、これに取り組む人も増えていくものと考えられます。