「女性の悩みに寄り添うテクノロジーおよびそのサービス」を指す「フェムテック」という言葉は、近年非常によく目にするようになったものです。また、さまざまな企業がこのフェムテックに取り組んでいます。実際にフェムテックを利用している人も多いことでしょう。
ここでは、このように一般化していくフェムテックが、「そもそもなぜこの時代にここまで注目を浴びるようになったのか」について解説していきます。
市場規模は5兆円とも! フェムテックが近年注目されるようになった理由とは
フェムテックの市場規模は、5兆円ともいわれています。多くの人がこのフェムテックを必要とし、また多くの企業がフェムテックを提供しています。
このようにフェムテックが巨大市場になった理由のひとつとして、「女性の持っている悩みが、多くの人の目につくようになったこと」が挙げられます。
かつて生理は「不浄なもの」ととらえられていましたし、出産でさえこのようにとらえられていた時代がありました。
また、フェムテックがアプローチする分野は非常にデリケートな分野でもあるため、悩みを持っていてもなかなか口にできない人が多かったのです。だれも声をあげないため、多くの人が同じような悩みを抱えているにも関わらず「私だけの悩みなのではないか」「口にするのははしたないのではないか」という考え方が蔓延していました。
そしてこの「口にしないこと」はしばしば、「ないものとして扱われること」につながります。「だれも声をあげない=必要とされない分野である=手掛ける必要のないサービスである」と考えられていたのです。
しかし現在はSNSなどを通じて、多くの人が気軽に、自分たちの体の悩みを口にできるようになりました。企業はマーケティング調査の一環としてSNSも追っていますから、そこで「女性特有の悩みがあること」に気づき、「それを解消するためのサービスは、利益になる」と気づいたのです。
女性の社会進出が進んだことも、背景にある
また、女性の社会進出が進んだこともフェムテックが広がる契機となりました。
働いている期間に子宮や胸の病気にかかった場合、当然仕事を休む必要が出てきます。病気でなくても、妊娠~出産や更年期などに、体調面やメンタル面で不調を感じる人は珍しくありません。
また、このような状態の社員を抱えることは、企業にとっても社会にとっても損失です。本人にとっても企業にとっても社会にとっても損失となりうる女性の不調を、フェムテックによって補い、サポートし、軽くできれば……という思いから、フェムテックという考え方が普及してきたのです。
フェムテックは、それを利用する女性は元より、女性を雇用する企業や社会にとっても意味があるものです。また、フェムテックを利用したサービスをリリースすることで、利益を得られる企業も多く存在します。
フェムテックが普及し始めたのは、このように、「四者四様の」利益があるからだといえるでしょう。